携帯電話を持つ営業社員に残業は不要?
営業社員に携帯電話等を携行させています。
それは、GPS機能やSNS等によって営業社員の行動が把握することが目的です。
この場合でも事業場外みなし労働蒔間制の適用は認められますか。
労働基準法ではみなし労働時間制は以下のとおり規定されています。
「労働時間の全部又は一部について事業場外で業務に従事した場合において、労働時間を算定し難いとき」(労基法38条の2第1項)。
労働時間を算定し難いとき
「労働時間を算定し難いとき」とは次のような場合です。使用者の具体的な指揮監督が及ばず労働時間を算定することが困難な業務を行う。
通達においても次のとおりです。
「事業場外で業務に従事するが、無線やポケットベル等によって随時使用者の指示を受けながら労働している場合」には、
事業場外で業務に従事する場合であっても、使用者の指揮監督が及んでいるものとしてみなし労働時問制の適用はないとされている(昭63.1.1基発1・婦発1)。
使用者が営業社員に携帯電話等を携行させている目的が、臨時的な事情により営業社員の判断で取引先との連絡に使用することにあり、通常は所属事業場と営業社員聞等で連絡を行わず、営業社員の裁量で事業場外での業務を行わせている実態にあれば、使用者の具体的な指揮監督はないものとして、みなし労働時間制の適用は可能になると考えられます。
GPS機能やSNS等で行動が把握できる場合、使用者が営業社員による事業場外での労働において常にその行動を把握し、随時指示を行う場合には具体的な指揮監督が認められ、みなし労働時問制の適用はないとされるでしょう。
また、在宅勤務に対し、みなし労働時間制が適用される要件として、通達において「情報通信機器が、使用者の指示により常時通信可能な状態におくこととされていないこと」および「業務が、随時使用者の具体的な指示に基づいて行われていないこと」等が挙げられています。(平16.3.5基発0305001、平20,7.28基発0728002)
これからの営業社員の働き方
時代とともに変化する営業スタイルに労働基準法が追い付いていないとも考えられます。営業社員は残業不要!という考え方を変えていく時代になりつつあります。