新入社員の内定取り消しは可能?


内定した新入社員より、卒業単位が取得できず4月1日に入社できないと連絡がありました。
本人は10月には卒業できる見込みなので、待ってほしいと言っています。
内定取り消しは可能でしょうか。


内定が出されている状態を「始期付解約権留保付労働契約」が締結されていると判断しています。
解約権が留保されている労働契約であることから、一定の解約事由に該当する場合は解約権を行使し、労働契約を解除することができます(一般的にはこれを内定取消といいます。)。

内定取消の有効性には、労働契約法第16条の規定が適用されます。
したがって、客観的合理性と社会通念上の相当性がなければ違法であり、無効とされます。

では、客観的合理性と社会通念上の相当性とは、以下のケースになります。
  1. 採用の前提となる条件(卒業、免許の取得など)が達成されなかった場合
  2. 入社日までに健康状態が採用内定時より低下し、職務に堪えられないと会社が判断した場合
  3. 暴力団員や暴力団関係者と関わりがあることが判明した場合
  4. 採用選考時の提出書類に偽りの記載をした場合、または面接時において事実と異なる経歴などを告知していたことが判明した場合
  5. 採用内定後に犯罪や反社会的行為など信用を失うおそれのある行為を行った場合
  6. 採用内定時には予想できなかった会社の経営環境の悪化、事業運営の見直しなどがあった場合
  7. その他上記に準ずる事由、またはやむを得ない事由がある場合
今回の場合、上記の1に該当しますので、内定取り消しは可能です。
ただし、この解約権の行使について、法的には「解雇」であると考えられています。