退職予定者の賞与について


社員より退職の申出がありました。
退職日までは年次有給休暇を消化する予定です。
その年次有給休暇中に賞与支給日がありますが、賞与を支給しなければならないのでしょうか。


多くの就業規則には、「支給日在籍要件」が規定されています。
それは、支給日時点で会社に在籍していることを条件としています。
したがって、今回のケースでは賞与を支給しなければなりません。

退職する社員に賞与を支給することに抵抗があるようですが、賞与の性質を考えます。
賞与を支給する目的は、以下の要素などが複合的に組み合わさっています。
  1. 過去の貢献に対する報奨
  2. 会社の利益の従業員に対する分配
  3. 将来への動機付け
上記1と2は該当します。
3については検討の余地ありですね。
退職者には会社における将来の動機付けはありません。
これを理由に賞与の一部を減額することも可能です。
ただ、減額の幅があまりにも大きい場合は認められないでしょう。
裁判例に「過去の賃金とは関係のない純粋の将来に対する期待部分」に対応する減額幅として、20%の減額のみを認める判決があります。

いずれにしても、就業規則などにあらかじめ規定しておく必要はあります。