部下から「私はお酒があまり強くありません。
しかし、新入社員の歓迎会で執拗にお酒を勧められ飲まないことを理由に
罵声を浴びせたことはパワハラに値します。」と言われました。
楽しい席でのことですが、パワハラなのでしょうか?


 「パワハラ」という言葉は広く認知されているにもかかわらず、

どうした行為がパワハラに該当するのかという判断は人によって異なっています。
確かに、厚生労働省のパワハラの定義付けと行為類型に飲酒強要は含まれていません。


しかし、飲酒強要などのパワハラを受けたとして、ホテル運営会社の元社員が
会社と元上司に損害賠償などを求めた訴訟の控訴審判決で、飲酒強要を不法行為と認定し、
150万円の支払いを命じました判例もあります。

理由は、極めてアルコールに弱い体質の元社員が少量の飲酒で嘔吐しているのに、
元上司が「吐けば飲める」と言って執拗に酒を強要したことから、「単なる迷惑行為に
とどまらず違法。元社員の肉体的、精神的苦痛は軽視できない」ということです。


飲酒強要については「上司の立場を逸脱し、許容範囲を超えていたとは言い難い」との
判例もありますが、この判例をふまえて、今後、職場の飲み会などで、こうした執拗な
強要がないように注意を促していくべきでしょう。