年休を取らせることは会社の義務?! その1
年休の強制付与 その1
ご存じのとおり、6月に働き方改革関連法案が可決され、いよいよ労働基準法をはじめとする労働関係法規が
広く改正されることとなりました。
中でも対応が急務なのは、時間外労働時間の上限規制と
年休の強制付与ではないでしょうか。
今回は、規模の大小を問わず来年4月から施行となり、
より早い対応が求められる「年休の強制付与制度」
について説明します。
制度の趣旨
さて、なぜこのような改正がなされたのでしょうか。ご存じのとおり、日本は年次有給休暇の取得率が
非常に低い国です。
一方で国のワークライフバランス行動指針では、
2020年までに年次有給休暇の取得率を70%に
することがうたわれています。
このギャップをどう埋めるか。国はまず、
「1日も取得していない社員をなくす」
方向に踏み出しました。
今回の改正内容は、2015年の労働政策審議会
労働条件分科会報告での建議がベースとなりました。
年次有給休暇の取得促進
・年5日以上の年次有給休暇の取得が確実に進むような仕組みを導入することが適当である。
・具体的には、年次有給休暇の付与日数が10 日以上である
労働者を対象に、有給休暇の日数のうち年5日については、
使用者が時季指定しなければならないことを規定することが
適当である。
・労働者が時季指定した場合や計画的付与がなされた場合、
あるいはその両方が行われた場合には、それらの日数の合計を
年5日から差し引いた日数について使用者に義務づけるものとし、
それらの日数の合計が年5日以上に達したときは、
使用者は時季指定の義務から解放されるものとすることが適当
である。
・使用者に年次有給休暇の管理簿の作成を省令において
義務づけるとともに、これを3年間確実に保存しなければならない
こととすることが適当である。
なお、この規定については中小企業の適用猶予が定められておらず、
2019年4月に一斉施行される点に注意が必要です。
より早急な対応が求められているといえます。
次回では、制度のあらましについて書きたいと思います。