令和5年度長時間労働に関する監督指導

厚生労働省は令和5年度に長時間労働が疑われる事業場に対して労働基準監督署が実施しました。
その監督指導の結果を取りまとめ、監督指導事例とともに公表しています。
令和5年度の監督指導実施状況のポイントと主な監督指導事例を確認しておきましょう。
 

令和5年度の監督指導実施状況のポイントと主な監督指導事例

●令和5年度の監督指導実施状況のポイント
令和5年4月から令和6年3月までに、26,117事業場に対し監督指導を実施し、21,201事業場(81.2%)で労働基準関係法令違反が認められた。
<主な法違反>
・違法な時間外労働があったもの→11,610事業場(44.5%)
・賃金不払残業があったもの→1,821事業場(7.0%)
・過重労働による健康障害防止措置が未実施のもの→5,848事業場(22.4%)

●主な監督指導事例/製造業に対して行われた監督指導の事例
機械器具製造を行う事業場(労働者約20人)において、営業職の労働者が精神障害を発症。
長時間労働が原因であるとして労災請求がなされたため、立入調査を実施。
 
  1. 精神障害を発症した労働者の勤務状況を確認したところ、繁忙期に上司の不在が重なり業務が集中したため、36協定で定めた上限時間(月42時間)を超える、最長で1か月当たり111時間の違法な時間外労働が認められた。……労働基準法32条違反及び36条6項違反で是正勧告
  2. また、当該労働者には固定残業代(20時間分)が支給されていたものの、それを超過する時間外労働に対して、割増賃金が支払われていなかった。……労働基準法37条違反で是正勧告
  3. そのほか、時間外・休日労働時間が1か月当たり80時間を超えていたにもかかわらず、当該労働者に対し、時間外・休日労働に関する情報を通知していなかった。……労働安全衛生法66条の8第1項違反で是正勧告
上記で紹介した監督指導事例は極端な例かもしれません。
企業が遵守すべき労働基準関係法令のルールにはさまざまなものがあります。
違反がないか、定期的にチェックしておく必要があるでしょう。

(参考)
長時間労働が疑われる事業場に対する令和5年度の監督指導結果を公表します