被用者保険の適用拡大などを盛り込んだ年金制度改正法が成立

令和2年5月下旬に、「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律」が成立し、同年6月5日に公布されました。
特に重要な改正項目を確認しておきましょう。
 

年金制度改正法のポイント

1.被用者保険の適用拡大

①短時間労働者を被用者保険の適用対象とすべき事業所の企業規模要件を段階的に引き下げ。
【現行「500人超」→令和4年10月から「100人超」→令和6年10月から「50人超」】
②5人以上の個人事業所に係る適用業種に、弁護士、公認会計士、税理士、社会保険労務士等の資格を有する者(政令で規定)が法令の規定に基づき行う法律又は会計に係る業務を行う事業を追加。【令和4年10月~】
 

2.在職中の年金受給の在り方の見直し

①高齢期の就労継続を早期に年金額に反映するため、在職中の老齢厚生年金受給者(65歳以上)の年金額を毎年定時に改定する仕組みを導入。
【令和4年4月~】
②60歳台前半の在職老齢年金制度について、支給停止とならない範囲を拡大する(支給停止が開始される賃金と年金の合計額の基準を、現行の28万円から「47万円(令和2年度額)」に引き上げ)。【令和4年4月~】
 

3.受給開始時期の選択肢の拡大

現在60歳から70歳の間となっている老齢厚生年金・老齢基礎年金の受給開始時期の選択肢を、「60歳から75歳の間」に拡大。【令和4年4月~】
 

4.確定拠出年金の加入可能要件の見直し等

➀確定拠出年金の加入可能年齢を引き上げ。【令和4年5月~】
②確定拠出年金のうち企業型DC加入者のiDeCo加入の要件を緩和。【令和4年10月~】
③確定拠出年金の受給開始時期の選択肢を拡大。【令和4年4月~】
④確定給付企業年金の受給開始時期の選択肢を拡大。【公布日~】
⑤確定拠出年金における中小企業向け制度の対象範囲を拡大(100人以下→300人以下)。
【公布日から6月を超えない範囲で政令で定める日~】
 

5.その他

「短期滞在外国人に対する脱退一時金の支給上限年数の引き上げ(3年→5年)【令和3年4月~】」など

企業や年金受給者などに大きな影響を及ぼす改正項目が多いため、施行までにある程度の期間が置かれています。
しかし、どのような改正が行われようとしているのかは早めに押さえておきたいところです。

必要であれば、他の改正項目も含め、説明させていただきます。